四川の激辛、広東のあっさりスープと並び、上野で根強いファンを持つのが、北京発祥の伝統的な「シュワンヤンロウ(涮羊肉)」スタイルだ。中央に煙突がそびえる特徴的な銅鍋(真鍮鍋)を使用し、澄んだ湯や軽やかなスープで厳選されたラム肉をサッとくぐらせて食べる。
使われるラム肉は、極薄にスライスされた極上品。湯にくぐらせた瞬間に余分な脂が落ち、肉本来の甘みと柔らかさが際立つ。これを合わせるのが、腐乳(豆腐の発酵調味料)やニラの塩漬け、パクチー、ラー油をミックスした濃厚な自家製芝麻醬(ゴマダレ)だ。まろやかなゴマのコクとラム肉の旨味が口の中で見事に融合し、爽やかな余韻を残す。唐辛子の刺激とは一味違う、上品で奥深い歴史の味を堪能できるのも上野火鍋の醍醐味と言える。