かつては「余った料理酒で十分」と片付けられがちだった酒蒸しだが、現在のシーンでは使用する日本酒選びが料理の仕上がりを決定づけるとされている。とりわけ、精米歩合を抑えた純米酒や、適度な酸味を持つクラフト日本酒との組み合わせが絶妙な化学反応を生む。
純米酒に含まれる豊富なアミノ酸は、はまぐりの旨味と結びつくことで深みを倍増させる。一方で、近年流行している生酛(きもと)造りや山廃仕込みのような力強い酸を持つ酒を使うと、貝特有の臭みが完全に消え去り、後味に爽やかな切れ味が生まれる。料理に使う酒と、グラスに注ぐ酒を同調させるアプローチが、2026年流の贅沢な愉しみ方だ。