人口数千人規模の地方自治体が、開花期間中のわずか2週間で10万人以上の観光客を迎える。そんな「白いフィーバー」が全国各地で現実のものとなっている。地元の農産物直売所や宿泊施設は特需に沸き、地域の経済循環に大きな恩恵をもたらしている。
しかし、過熱する観光ブームの裏には深刻な課題も横たわる。観光客による私有地への無断侵入、周辺道路の激しい渋滞、そして根元を踏み固められることによる樹木の衰弱だ。ヒトツバタゴは根が浅く繊細なため、大勢の人間が足元を踏み込むことで根腐れを起こすリスクが高い。
「花を愛でてもらうのは嬉しいが、木そのものが傷ついてしまっては元も子もない」。地元の保全団体は、木から一定の距離を保つ木道の整備や、入場制限を伴う環境保全協力金の徴収など、持続可能な観光モデルの模索を余儀なくされている。