高架下に広がる鶴橋商店街や国際市場は、終戦直後の混乱期に形成された闇市をルーツに持つ。迷路のように入り組んだ細い通路は、大人一人がすれ違うのがやっとの場所も少なくない。頭上を覆うアーケードは昼間でもほの暗く、裸電球やLEDの光が鮮やかなキムチの赤やチマチョゴリの生地を照らし出す。
「昔はここら一体、地図すらなかったんやから」。古くからキムチ店を営む店主は笑う。かつては近隣住民の台所として機能していた商店街だが、今や全国から、そして世界中から本物の味と雰囲気を求める人々が詰めかける。時代の移り変わりとともに店舗の顔ぶれは少しずつ変わっても、空間が持つ圧倒的な肉厚感は衰えていない。