ドラムという男の魅力は、一見すると矛盾する要素の絶妙な同居にある。丸みを帯びた愛くるしいフォルムと無邪気な笑顔。だが、ひとたび任務となれば、警察の追撃をかわすカーチェイスを軽々とこなし、膨大な情報を瞬時に分析し、主人の危機には命がけで飛び込む。この「見た目の癒やし」と「プロフェッショナルな有能さ」のギャップこそが、視聴者の庇護欲と尊敬を同時に刺激したのだ。
言葉を発しないという制約も、逆説的に彼の魅力を引き立てた。声優・林原めぐみによる可愛らしいスマホの音声読み上げサービスが、ドラムの心の声を代弁する仕掛けは発明と言っていい。緊迫したサスペンスが続く展開の中で、彼の電子音声が響くたび、画面越しに張り詰めていた緊張が一瞬で和らぐ。シリアスとコメディの黄金比率を保つ安全弁として、彼は作品に不可欠なピースだった。