速度の混同を生む大きな要因が、「海のマイル(海里)」と「陸のマイル(法定マイル)」の存在です。同じ「マイル」という呼称が使われながらも、両者は誕生した背景も基準も全く異なります。
陸のマイル(Statute Mile = 約1,609.344m)は、古代ローマ軍の歩幅(2歩分=1パッスス)を1,000回繰り返した距離「ミッレ・パッスス」を起源として発展しました。一方、海里(Nautical Mile = 1,852m)は、地球の中心から見た緯度1分(1度の60分の1)に相当する子午線弧長を基に定義されています。
船舶や航空機のナビゲーションにおいて、キロメートルや陸マイルではなく「ノット(海里/時)」が国際標準として使い続けられているのには明確な理由があります。地球規模の移動を行う際、海図や航空図の緯度・経度と海里が1対1で連動するためです。「緯度にして1分移動した距離がそのまま1海里」となるため、航路計算や現在地割り出しの計算負荷を大幅に削減できるという合理性があります。