Martin Garrix(マーティン・ギャリックス)ことマーティン・ヘラルド・ハライツェンがAnimals(アニマルズ)を生み出した当時、彼はまだアムステルダムの音楽学校に通う17歳の少年に過ぎなかった。放課後に自室のデスクへ向かい、ノートPCの小さな画面上でトラックの骨組みを組み立てていた青年が、世界のスタジアムを揺るがす怪作を誕生させたのだ。
当時、エレクトロニック・ダンス・ミュージック(EDM)の主流は、壮大なボーカルと分厚いシンセサイザーのレイヤーを重ねた高揚感重視のスタイルだった。しかし、マーティンは真逆のアプローチを選んだ。無駄な音を極限まで削ぎ落とし、ミニマルなパーカッションの抜き差しだけで圧倒的な緊張感を作り出す手法だ。ヒップホップのグルーヴやハードスタイルのキック構造から着想を得た独特のドロップは、装飾過多だったダンスフロアに冷水と熱湯を同時に浴びせるような衝撃をもたらした。
「誰もが似たようなシンセコードを鳴らしていた時代に、あの乾いたパーカッションの音だけをドロップに持ってきたのは一種の賭けだった」。後年のインタビューで本人がそう語る通り、常識に囚われない若きインディペンデント精神こそが、ジャンルの壁を打ち破る最大の推進力となった。