そもそも、なぜこれほどまでに過激な細さが理想視されるようになったのか。背景には、長年にわたりファッション業界が提示してきた視覚的規範が存在する。衣服を立体的に、ドレープを乱さずに見せるためには、肉体の凹凸を最小限に抑えたハンガーのような骨格が都合良かったのだ。
かつて『CanCam』をはじめとする女性誌が牽引した赤文字系ブームから、現代の東京ガールズコレクションに至るまで、スポットライトを浴びるランウェイの主役たちは常に細身の美しさを更新してきた。カメラのレンズは被写体を実際よりも3キロから5キロほど太く見せる特性を持つ。そのため、メディアの最前線に立つ人々は、視覚補正を計算に入れた過酷な体型管理を余儀なくされてきた経緯がある。