料理初心者はもちろん、日常的にキッチンに立つ人でも「15cc=大さじ1杯=15g」と無意識に暗記しているケースが少なくありません。しかし、現場の調理科学や食品分析の観点から言えば、この認識は大きな味の破綻を招くリスクを孕んでいます。
文部科学省が公表している「日本食品標準成分表」や調理学の基礎データが示す通り、物質にはそれぞれ固有の「比重(密度)」が存在します。水であれば1ccあたりの重さがちょうど1gであるため、15ccは15gで間違いありません。ところが、水分よりも分子が密集している食塩や醤油、逆に水よりも比重が軽い油類、さらには結晶の間に空気を多く抱え込む砂糖や小麦粉では、同じ15ccの器に満たしても重量計が示す数値は全く別物になります。
例えば、レシピに「砂糖 15cc」と書かれていた場合、これを15g投入してしまうと、本来意図された分量よりも約1.7倍もの砂糖を過剰に加えることになります。煮物の味が不自然に甘くなったり、焼き菓子の生地がベタついて膨らまなくなったりする悲劇は、まさにこの「cc(体積)とg(重さ)の混同」から生まれているのです。