12誘導心電図は、心臓の電気的活動を「12の異なるカメラアングル」から観察する検査法です。大きく分けて前額面(身体を正面から見た面)を捉える四肢誘導(6誘導)と、水平面(身体を輪切りにした面)を捉える胸部誘導(6誘導)の2系統で構成されています。
四肢誘導はさらに、2つの電極間の電位差を測る「標準肢誘導(I、II、III誘導)」と、1つの電極の電位を基準電位と比較する「増高単極肢誘導(aVR、aVL、aVF誘導)」に分かれます。これにより、心臓の起電力が上から下、右から左へとどのように流れているかを示す電気軸(心臓の平均電気軸)を判定できます。一般に正常軸は-30度から+90度の範囲に収まり、I誘導とII誘導(またはaVF誘導)のQRS波がともに上向き(陽性波)であれば正常軸と判断可能です。I誘導が陽性でII/aVF誘導が深い下向き(陰性波)なら左軸偏位(左室肥大や左脚前枝ブロックの疑い)、I誘導が陰性でII/aVF誘導が陽性なら右軸偏位(右室負荷や右脚ブロックの疑い)を考慮します。
一方、胸部誘導(V1〜V6誘導)は心臓の周りを半円状に取り囲むように電極を配置し、心室の前面、中隔、心尖部、側壁の局所的な電気変化をミリ単位で捉えます。両者の違いを理解しておくことで、波形の異常が心臓の「どの壁」で起きているのかを立体的に把握できるようになります。