ダメージ加工の配置において、全体のスタイリングを決定付ける重要部位が「膝」「裾」、そして太もも付け根の「ヒゲ(色落ちのシワ)」です。各部位の特性に応じたアプローチを採らなければ、不自然で安っぽい仕上がりに陥ってしまいます。
まずジーンズダメージ加工膝と裾の設計では、人体の運動メカニズムへの配慮が不可欠です。膝小僧の真中心に大きなクラッシュを入れてしまうと、屈伸時や着席時に強い張力がかかり、数回の着用で横糸がすべてブチブチと破断して巨大な穴へと変わってしまいます。スタイリストの中村祐三氏が提案するプロのテクニックでも言及されている通り、膝頭の中心から2〜3cmほど上部、またはやや外側にずらした位置にスリットを配置するのが、横糸を長持ちさせつつ足を長く見せる黄金比率です。
裾周りの加工では、裾の縫い目(ヘム)をあえてカッターで解く「カットオフ・切りっぱなし」や、金属製のおろし金を軽く擦り付けてアタリを出す手法が有効です。硬いステッチ部分におろし金や粗目のヤスリを不規則に当てることで、擦れによるリアルなヴィンテージクラッシュを短時間で表現できます。
さらに立体感を高めるのがデニム色落ちヒゲ加工やり方です。穿きジワを再現するために、太ももの付け根周辺に斜めの放射状の折り目を指で作り、その山折りになった頂点部分だけに#240の紙やすりを水平方向に優しく滑らせます。ライフスタイルメディア等で「強制経年変化」の実践レポートを公開している愛好家たちの記録が示すように、下地に割り箸や丸めた厚紙を忍ばせて凸部を作り、そこをピンポイントで擦ることで、不自然な四角い色落ちを避け、本物のヴィンテージ特有のシャープな色落ちラインを浮き上がらせることができます。